政府の成長戦略に遅れが出ている。10日公表した報告書によると、数値目標がある117項目のうち、15%にあたる18項目で遅れがあった。女性支援や海外需要の取り込みなど戦略の柱になる分野で目立ち、省庁からは目標の見直しを求める声も出ている。政府は週内に働く女性を支援する施策の進捗を集中点検する会合を開き、テコ入れを進める。
成長戦略の進捗などをまとめた報告書を国会に提出した。それぞれの数値目標に対して、成果が順調に出ていれば「A」、遅れていれば「B」などの評価を付けた。
B評価には女性の活躍推進に関する目標が3項目あった。2017年度末までに待機児童をゼロにする目標は、当初計画では現時点で1万6550人に減っているところ、実際には2万1371人いた。男性の育児休業取得率は2.03%(13年)にとどまり、目標設定時(11年)の2.63%よりも低くなっていた。
海外需要の取り込みに関する目標は5項目がB評価だった。海外からの対日直接投資残高は20年に35兆円に増やす目標を立てたが、足元では18兆円。当初の計画よりも2兆円少ない。
政府は今年を成長戦略の成果が問われる「正念場の年」(甘利明経済財政・再生相)と位置づけている。ただ1月下旬の産業競争力会議の作業部会では「目標を見直すことが必要ではないか」(内閣府)との声が省庁から出た。
競争力会議は13日に女性の活躍推進施策の進捗を集中的に点検する会合を開く。女性を含む雇用全般の施策を点検することはあったが、女性にテーマを絞って会合を開くのは初めて。待機児童の解消や男性の育児休業取得などで取り組みの強化を指示する方針だ。