改修された平壌の白頭山建築研究院を視察する金正恩朝鮮労働党委員長。日時は不明。朝鮮中央通信が11日報じた=朝鮮通信
北朝鮮の人権侵害の責任追及を目指し、日本と欧州連合(EU)主導で国連人権理事会に提出される対北朝鮮決議案の草案が15日、明らかになった。国際社会は近年、核・ミサイルとは別に人権でも北朝鮮に是正を求め、責任追及に向けた取り組みを強めている。
朝日新聞が入手した14日付の草案は、国連人権高等弁務官事務所の機関でソウルにある北朝鮮人権事務所の監視機能を強化し、人権侵害の証拠や証言を収集・管理する仕組みを確立することが柱になっている。
これは、北朝鮮の人権状況を調べるキンタナ国連特別報告者の下で、人権侵害について指導者の責任を追及する具体的な方法を検討してきた独立専門家グループが先月に公表した報告書の内容を踏襲したものだ。
報告書は、国際刑事裁判所(ICC)への付託や北朝鮮を対象にした特別国際法廷の設置などを選択肢として挙げ、そのための「実践的ステップ」を勧告。継続的な証拠・証言集めと管理については、国際的な司法の枠組みで責任追及に生かすことを想定している。
決議案は、現在の草案に若干の修正が加えられた上で、人権理事会に提出され、開催中の定例会合で賛成多数で採択される見通し。外交筋によると、米国やカナダなどが賛同して共同提案国に加わる可能性を表明する一方で、ロシアや中国はすでに難色を示しているという。(ジュネーブ=松尾一郎)