自民、公明両党は13日午前、今国会の焦点になる安全保障法制の整備に関する与党協議会の初会合を開いた。集団的自衛権の行使容認を柱とする昨年7月の閣議決定に基づいて関連法案をまとめるのが目的。法案の骨格を3月末をメドに固め、5月の連休明けの法案提出をめざす。自衛隊を随時、海外に派遣できるようにする恒久法制定の是非などが論点になる。
協議会の座長には自民党の高村正彦副総裁が就任した。会合の冒頭、高村氏は「憲法の範囲内であらゆる事態に切れ目なく対応できるようにする。3月中のそれほど遅くない時期にまとめたい」と表明。座長代理に就いた公明党の北側一雄副代表は「個別の項目ごとに合意するのではなく、パッケージとして合意をめざしたい」と述べた。当面は週1回開く。
政府は昨年の閣議決定で、中国による海洋進出など安保環境の変化への切れ目ない対応を掲げた。自衛隊が現行法で対応しきれないケースを(1)武装集団による襲撃など武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」への対処(2)国際協力(3)集団的自衛権の行使――の3つに分け、それぞれ法整備を進めるとした。今回もこの順番で協議を進める。
最初に議論するグレーゾーン対処の柱は、共同訓練などで連携する他国軍の艦船や航空機が武装集団に攻撃を受けた場合などに、自衛隊が武器を使って守るための法整備だ。閣議決定は防護対象を米軍としたが、政府・自民党は安保協力が進むオーストラリア軍などにも広げるよう提案する。公明党は米軍に絞るよう求める。
グレーゾーン事態で自衛隊の出動手続きをどこまで簡素にするかも論点だ。政府は武装集団が離島を不法占拠した場合などへの対処方針をあらかじめ決めておき、実際に事態が発生すれば首相の判断だけで出動できるようにする考え。想定していなかった事態が起きた場合も素早く対応できるよう電話で閣僚の同意を得て派遣を決める手続きも検討する。
自衛隊の海外派遣による国際協力の議論では、恒久法を制定するかどうかが焦点だ。現行の周辺事態法は朝鮮半島有事の米軍支援を想定しており、日本周辺以外へ派遣するにはその都度、特別措置法を制定する必要がある。政府・自民党は地理的な制約がなく迅速に派遣できる恒久法の制定をめざすが、公明党は自衛隊の海外派遣が無制限に広がりかねないとして慎重だ。
集団的自衛権を行使できる「存立事態」の解釈を巡っても開きがある。例えば日本の輸入原油の8割が通過する中東・ホルムズ海峡での機雷掃海。政府・自民党は「国民生活に死活的な影響が生じる」として存立事態とみなすが、公明党は「国民の権利を根底から覆す明白な危険とは言いにくい」と主張している。