東京都で2014年に落とし物として届けられた現金が5年続けて増え、約33億4千万円に上ったことが、16日までの警視庁のまとめで分かった。バブル景気に沸き、ピークを記録した1990年とその前後に迫る水準。持ち主に戻った現金は約24億7千万円で、都が20年東京五輪招致でアピールした「治安の良さ」の一端を裏付けた。
警視庁遺失物センターによると、落とし物が手元に戻った訪日外国人が「ミラクルだ」と感謝する事例も多いという。担当者は「おもてなしにつながる」として、拾得物は必ず届けるよう呼び掛けている。
落とし物の受理は全体で約356万件に上り、記録が残る1940年以降で過去最多を3年連続で更新した。
内訳は、マフラーなどの衣類が約56万点、傘が約40万点。クレジットカードなどの証明書類は約34万点、IC乗車券などの有価証券類は約31万点で、いずれも13年より1割以上増えた。インコやウサギといった動物も約900点あった。
同センターは、落とし物が増え続ける理由を「音楽プレーヤーなどの持ち物の小型化や、人が集まる大型商業施設の増加が影響したのではないか」と推測している。
現金の届け出は、90年の約35億円がこれまでの最多。
〔共同〕