選抜高校野球をめぐる賭博事件で、指定暴力団道仁会の関係先を家宅捜索した捜査員ら。別の関係先からは賭博の申込書などが押収された=昨年12月5日、久留米市上津町
前飯塚市長による賭けマージャンで問題となった賭博。競馬などの例外を除いて現金を賭ける行為は違法だが、福岡でもマージャン店などで日常的に行われており、少額であれば摘発される例は少ない。だが、賭け事は暴力団の資金源になっていて、一般人が巻き込まれているという実態もある。賭け事にどう向き合うべきか。
2月中旬の夜10時、福岡市のマージャン店。たばこの煙が立ちこめる店内で、4組ほどの客が黙々とマージャンを打っていた。
仕事帰りの同僚たちのグループという男性(32)は「お金は賭けている。そうじゃないと張り合いがない」と話す。マージャンの勝ち負けを点数にし、それに応じて金額を決めている。その時点では2千円ほどの負け。「せいぜい数千円。パチンコのように何万円も負けるわけではない」
従業員によると、1人で訪れるフリーの客は、店のルールによる賭け金のレートでほかの客や従業員と打つという。この店では「1千点で50円」が相場で、数千~1万円程度で遊ぶ客が多いという。従業員は「店として賭博をさせているわけではない。客同士がゲームしやすいように目安を示しているだけ」と語る。
■「コーヒー代や昼食代程度は除外対象」
パチンコでも換金は日常化している。賭博は刑法で禁じられているが、条文では「一時の娯楽に供するものを賭けたにとどまる時はこの限りでない」ともしている。
どこで線引きされるのか。
捜査関係者は「コーヒーやチョコレートなど、換金できずにすぐ消費するものは対象にはならないだろうが、現金は少額でもだめだ」とする。ただ、「実態把握が難しく、すべてを捜査して摘発できるかというと、現実的には難しい」と口にする。「コーヒー代や昼食代程度なら刑事責任の除外対象になり得る」という刑法の専門家もいる。