トヨタ自動車グループの労働組合で構成する全トヨタ労働組合連合会は18日、製造系の組合が2015年春季労使交渉の要求書を経営側に提出したと発表した。個人消費の低迷と労働の質的向上を背景に、集計対象の121組合すべてが月6千円以上のベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分を要求した。定期昇給にあたる賃金制度維持分と合わせた平均賃上げ要求額は14年春に比べて4割増となった。
加盟313組合のうち、製造125組合が要求書を提出した。連合は月給の2%以上のベアを要求する方針。全トヨタ労連では賃金格差の拡大を防ぐため、6千円以上のベアを統一要求する方針を決定している。
トヨタの15年3月期の業績は過去最高益になる見通しだが、グループには業績にばらつきがみられ、賃上げに慎重な中小も少なくない。トヨタ自動車労働組合は「グループ関係各社、販売店と一体となって取り組む」(鶴岡光行執行委員長)ため、ベア要求を6千円と足並みをそろえた。
デンソーやアイシン精機、豊田自動織機などの主要各社をはじめ部品メーカーの120組合は6千円のベアを要求し、1組合のみ8千円とした。組合の平均ベア要求は月給の2.3%。賃上げの要求額は平均で1万642円(ベア分は6017円)と、14年春の7527円(同2906円)を大きく上回った。
一時金については、集計対象の組合の平均要求水準が5.05カ月と、昨年(5.01カ月)を上回った。5カ月以上を要求する加盟組合は102組合と、14年春に比べて6組合増えた。トヨタ労組は、基準内賃金の6.8カ月分(満額回答後の賃金水準で約247万5千円)を要求する。
愛知県豊田市で18日記者会見した全トヨタ労連の金子晃浩事務局長は「日本経済の好循環と格差是正が命題」と意気込んだ。121組合が6千円以上のベア要求に踏み切ったことについては「自動車産業の発展は大手だけで決してできない」と強調した。
トヨタは14年度下半期に続き、15年度上半期も取引先に部品価格の引き下げを求めない方針。部品メーカーの反応は「賃上げを実施する」や「社会的役割は納得できるが賃上げは困難」とまちまち。金子事務局長は「要求は決して低い水準ではない。非常に厳しい交渉になる」と指摘した。
製造組合は会社と週1回程度交渉し、3月18日の回答引き出しを目指す。販売組合は2月25日までに要求書を提出し、3月26日の回答に向けて交渉する。