【ベルリン=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)は18日の理事会で、当面はギリシャの銀行の資金繰りを支援することを決めた。ロイター通信によると支援枠を33億ユーロ(4500億円)上積みすることでも合意した。ギリシャでは信用不安から預金流出が続く。支援枠を数週間で使い切るとの観測もあり、銀行経営は綱渡りの状態だ。
反緊縮の立場を鮮明にしたチプラス政権に「警告」するため、ECBは2月に入ってギリシャの銀行への直接支援を停止した。ただギリシャ中銀が「緊急流動性支援(ELA)」という枠組みを通じて資金を流すことは容認し、12日に650億ユーロの支援枠を用意したばかりだった。
この支援枠の大半をすでに使い切ったとの見方が強く、独メディアは「50億~100億ユーロの追加支援をギリシャが求めた」と伝えていた。ECBは「満額回答」はせずに、若干の支援枠の上積みにとどめたようだ。
銀行システムが行き詰まれば経済の大打撃は避けられず、ギリシャの財政破綻につながりかねない。ECBは中銀を通じた唯一の命綱を残した格好だが、この措置は当座しのぎにすぎない。ギリシャでは政府が預金の引き出しを制限する「預金封鎖」やお金の国外持ち出しを禁じる「資本規制」の噂が流れ、不安感が預金流出に拍車をかけているためだ。
信用不安を抑え込むには欧州連合(EU)などの支援が不可欠。ギリシャ政府は19日、EUに対して支援延長を求める予定だが、交渉がまとまるかは予断を許さない。北部欧州では、財政緊縮無しの支援を求めるチプラス政権への世論の反発が強い。ギリシャが求めるような形では、支援に必要な国会承認などを各国政府が得られる可能性は低い。
月末にかけてEUとギリシャの交渉は正念場を迎える。ショイブレ独財務相は「2月28日にゲームオーバーだ」と警告している。