トヨタ自動車の2017年春闘は12日、月1300円のベースアップで事実上決着した。国内最大の製造業企業であるトヨタのベアは4年連続だが、昨年の1500円には届かない。
電機大手も前年割れのベア1千円で決着の方向。政権が賃上げを促す「官製春闘」が始まった14年以降ではともに最少となり、相場全体に影響を与えそうだ。
トヨタの経営側は15日に月1300円のベアを正式回答する。ベアと別に家族手当分で月1100円の賃金改善も行う。21年までの段階的引き上げが決定済みの手当増額を今春に前倒しして一括実施する。労組は定期昇給分を除く賃金改善を月3千円求めていたが、こうした経営側の回答を受け入れる。
一時金(ボーナス)は労組の要求通り年6・3カ月だが、前年実績の7・1カ月は下回る。金額では230万円程度となる。
一方、非正規の期間従業員の賃金については、月3千円のベアに相当する日額150円の引き上げを実施する。労組の要求通りとなる。
安倍晋三首相は、伸び悩む国内消費を盛り上げようと「少なくとも昨年並みの賃上げ」を経済界に要請していた。
しかし、トヨタの17年3月期の営業利益は円高などで5年ぶりに減る見込み。主要市場の米国に保護主義的なトランプ政権が発足したことで、経営環境の先行きも不透明になっている。(高橋諒子)