今年の春闘は15日に集中回答日を迎えた。安倍政権が賃上げを呼びかける「官製春闘」も4年目。自動車や電機など大手企業の経営側は賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)に4年連続で応じたが、引き上げ幅は前年実績を軒並み下回り、この4年間で最低水準となった。
春闘相場をリードしてきたトヨタ自動車のベア回答は、前年実績を200円下回る月1300円。上田達郎常務役員はこの日の記者会見で「今期は減益予想。来期以降も見通しが難しいなか、従来通りのベアは難しい」と述べた。
日立製作所やパナソニックといった電機大手の回答も、前年実績を500円下回る月1千円にとどまった。製造業労組を傘下に持つ金属労協の15日午後5時時点の集計では、回答があった主要44組合のベアの平均は月1069円で、前年の水準(月1424円)を大きく下回った。
賃上げを消費増につなげる「経済の好循環」を狙う安倍晋三首相は「少なくとも前年並みの賃上げ」を呼びかけていた。だが経営側は、保護主義色の強い米トランプ政権の政策が日本企業に及ぼす影響への警戒感などから固定費の増加につながるベアの上積みに慎重で、厳しい交渉となった。