悪質な運転に対する罰則を強化した「自動車運転処罰法」について、警察庁は19日、昨年5月の施行から昨年末までの適用状況を明らかにした。同法の危険運転致死傷容疑を適用しやすくなった酒や薬物の影響による事故など、新設された規定に基づいて全国の警察が210件を摘発した。
最も多かったのは、新たに危険運転致死傷容疑を適用できるようになった酒や危険ドラッグなどの薬物、病気の影響で「正常な運転に支障が生じる恐れがある状態」で運転を始め、人身事故を起こしたケースの摘発で、128件に上った。
従来は、病気は適用外だった上、「正常な運転が困難な状態」だったことを立証する必要があったため、適用が難しく、厳罰を求める被害者側から批判が出ていた。
警察庁の担当者は、昨年は従来の規定を適用しての危険運転致死傷容疑の摘発も前年より10件多い353件に上ったことから、「適用しやすい新規定に流れたのではなく、厳しく処罰すべき対象の摘発を純粋に増やせた。今後も力を入れていく」としている。
事故現場から逃走することで飲酒運転などの発覚を免れる「逃げ得」対策として新設された発覚免脱容疑の摘発も72件あった。
210件のうち、14件ではドライバーが無免許だったため、刑を重くすることができる新たな規定も適用された。〔共同〕