【ワシントン=吉野直也】米政府が主催した過激派対策を巡る閣僚級会合は19日、過激思想の拡散阻止に向けた情報共有や地域との協力などを盛った共同声明を採択し、閉幕した。声明にはテロの温床となっている教育の荒廃や貧困の解消など包括的な取り組みの必要性を明記した。
会合はワシントンで17日から始まり、最終日となった19日は60カ国超の閣僚や国際機関のトップが参加した。声明では(1)各国の過激派を分析し、その情報を共有する(2)過激派に対抗するための専門知識を深め、戦略を練る(3)地域の宗教指導者や女性の役割を考え、協力を拡大する(4)警察当局との連携を強化する――なども打ち出した。
オバマ米大統領は演説で「テロ組織のゆがんだ思想やイスラム教を悪用しようとする試みと対決しなければならない」と呼びかけた。そのうえで「過激主義に結束して立ち向かうために我々はいまここにいる。結束が揺らいではいけない」と訴えた。
中山泰秀外務副大臣は演説で、中東・アフリカ地域のテロ対策のために、国際機関を通じた約1550万ドル(約18億4000万円)の支援を明らかにした。
国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は世界の宗教指導者を招いて「相互理解と和解」を促す特別会合を、数カ月以内に開くと発表した。ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)は閉幕演説で、外国人戦闘員の移動阻止に向けた協調を力説し、各国が国内対策で具体的な行動を進めるよう求めた。