「ようやく下り最大毎秒150メガビット(Mbps)を超える最高速度を提供できるようになった」(大松沢清博常務執行役員)――。NTTドコモは25日、LTEの拡張版「LTEアドバンスト」方式の通信サービス「プレミアム4G」を3月27日に始めると発表した。異なる周波数に分散している電波を束ねて使う「キャリアアグリゲーション(CA)」と呼ぶ技術を使い、下り最大毎秒225メガビット(Mbps)と現行の1.5倍に引き上げ、国内最速の通信速度を実現する。さらに、2015年度内に同300Mbps、20年度をめどに光ファイバーと同程度の1ギガビット(Gbps)の高速通信を実現する計画だ。
■「細切れ電波」を束ね6車線に
LTEアドバンストの愛称「プレミアム4G」を発表する、NTTドコモの大松沢清博常務執行役員(25日、東京・千代田)
LTEのデータ通信は、一般に上下各5MHz幅の「車線」を増やすことで高速化してきた。下りの最高速度は1車線あたりで37.5Mbpsとなる。2車線ならば2倍の75Mbps、4車線ならば150Mbpsとなる計算だ。
6500万契約もの利用者を抱えるドコモは幅広い電波免許も保有しているものの、その周波数帯は4つに分かれている。具体的には800MHz帯(3車線)、1.5GHz帯(3車線)、1.7GHz帯(4車線)、2.1GHz帯(4車線)の4種類だ。今春には700MHz帯(2車線)、16年秋には3.5GHz帯(4車線)が加わるものの、個々の周波数帯は最大で4車線分の幅しかなく「150Mbpsの壁」があった。
だが、CA技術を使えば2つの周波数帯を使って同時にデータを送受信できるようになる。いってみれば、これまではまったく別々のところを走っていた道路を、あたかもすぐ隣を走っているように使えるようにするわけだ。
ドコモのLTEアドバンストでは、800MHz帯+1.7GHz帯、1.5GHz帯+2.1GHz帯の2通りでキャリアアグリゲーションを展開する
ドコモのプレミアム4Gは、800MHz帯(3G用1車線を除いた2車線)+1.7GHz帯(4車線)、1.5GHz帯(3車線)+2.1GHz帯(3G用1車線を除いた3車線)という2通りの組み合わせで6車線を確保。これにより、最大225Mbpsのサービスを実現する。
ドコモはCA以外にも、プレミアム4Gで高速化技術を投入する。一つは、従来の半径数百メートル~数キロメートルの基地局網の中に、半径数十~数百メートルの小型基地局を重ね合わせる「アドオンセル」という技術だ。こうすることで、東京・渋谷のような人が多すぎてつながりにくいエリアでも機動的に小型基地局を設置できて実効速度を確保できる。
もう一つはこれらの基地局を集中制御する技術で、利用者が移動しても同じ制御装置の傘下にある基地局間では切り替え動作(ハンドオーバー)を不要として実効速度を改善する。当初は東京・大阪などの大都市圏を中心に、22都道府県の38市町村の一部でプレミアム4Gを提供し、混雑しているエリアで優先的にプレミアム4Gを展開していく。