強姦罪などで実刑が確定後、「被害者」とされた女性らの証言が虚偽だったことが判明し、約3年半の服役後に釈放された男性の再審請求審で、大阪地裁(登石郁朗裁判長)は27日、「無罪を言い渡すべき新証拠がある」として再審開始を決定した。男性は再審で無罪となる公算が大きくなった。
男性は2004年と08年、大阪市内で同じ女性に乱暴したとして強姦、強制わいせつ罪で起訴された。捜査段階から一貫して否認したが、大阪地裁は09年に懲役12年の判決を言い渡し、11年に最高裁が上告を棄却して刑が確定した。
刑の確定後、弁護側が女性や目撃者を名乗る人物に聞き取ったところ、いずれも虚偽証言を認めた。男性は昨年9月、大阪地裁に再審を請求。再捜査した大阪地検は、女性らの虚偽証言に加え「男性が事件に関与していなかったことを示す『客観証拠』を確認した」として同年11月、男性を釈放した。
弁護側によると、「客観証拠」とは、女性に性的被害の痕跡が無いことを示す診療記録。控訴審段階で弁護側が検察側に診療記録の提出を求めたが、検察側は「(そういった診療記録は)無い」と回答していた。
大阪地検の北川健太郎次席検事は取材に対し「虚偽証言を見抜けず、客観証拠を発見し得なかったのは遺憾」と話した。