トランプ米大統領が6日に署名した、難民や中東・アフリカ6カ国の国民の米国入国を一時禁止する新しい大統領令について、米ハワイ州の連邦地裁は15日、全米で執行を停止する決定をした。大統領令が憲法違反だとして同州などが差し止めを求めて提訴し、同地裁は「大統領令は信仰による差別だ」と認められる可能性が高いと判断した。トランプ氏は15日、不服として争う考えを表明した。
入国禁止の大統領令は、トランプ氏が1月に署名した最初の大統領令が地裁決定で執行停止になり、控訴裁も決定を支持。これを受けて修正した新しい大統領令は、一時入国禁止の対象国を中東・アフリカの7カ国から、イラクを除外して6カ国にし、米国の永住権や入国査証(ビザ)を持つ人は入国できるとした。難民の受け入れも120日間停止とし、16日に施行される予定だったが、改めて司法がストップをかけた。16日朝には、メリーランド州の連邦地裁も大統領令の一部の効力を停止する決定をした。
政権側は訴訟で「大統領令はイスラム教徒の入国を禁止したものではない」と主張したが、15日の決定はトランプ氏が大統領選でイスラム教徒の入国禁止を掲げ、側近も新しい大統領令について「(以前の大統領令と)基本的に同じ効果をもたらす」と解説していたことなどが、「大統領令が掲げている世俗的な目的を裏切っている」と判断。今後、大統領令の違憲性が訴訟で争われた場合、信教の自由を損なう法律の制定を禁じる米国憲法に違反すると判断される可能性が高いと認めた。
ハワイ州は大統領令によって州…