日本統治時代に朝鮮半島から徴用されて働かされたとする韓国人の遺族が富山市の機械メーカー、不二越に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は16日、同社に対して1億ウォン(約1千万円)を支払うよう命じた。
同社や三菱重工業、新日鉄住金に損害賠償を命じる判決が出た裁判は確認されただけで9件目で、係争中は13件ある。韓国大法院(最高裁)は3件を審理中で、損害賠償を命じる判決を支持して判決が確定した場合、韓国内の被告企業資産が差し押さえられる可能性がある。
日本統治時代に生じた被害や損失を巡る個人の請求権について、日本政府や企業側は1965年の請求権協定で解決済みとしているが、16日の判決は、この主張を退けた。「日本の国家権力が関与した反人道的な不法行為などに、個人が損害賠償を求める権利は協定の対象外」とした2012年の大法院判断にならった。
一方、被害者や遺族を支援する韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」は独自の支援策を継続するため、日韓の政府や関係企業に参加を呼びかけている。(ソウル=牧野愛博)