日銀の木内登英審議委員は5日午前、前橋市で開いた金融経済懇談会であいさつし、昨年10月31日の金融政策決定会合で決まった「量的・質的金融緩和」の拡大に反対した経緯について、「効果がコストや副作用に見合わない」と語った。そのうえで追加緩和によって金利をさらに押し下げても「名目金利が既に歴史的に低水準であるうえ、世界的に予想物価上昇率が低いため(名目金利から物価上昇率を差し引いた)実質金利の低下余地は小さい」との認識を示した。
同委員は10月の会合で追加金融緩和に反対票を投じた。以後の会合でも政策委員会のメンバーの中で一人だけ反対し続けている。
日銀による大量国債買い入れで「国債市場の流動性が極端に低下すれば、ショックへの耐性が低下し、ボラティリティー(相場変動率)が高まるなど市場が不安定化する」と指摘。日銀によって市中発行額の大半が買われることで「実質的な財政ファイナンスとみなされる潜在的なリスクが高まる懸念がある」と言及した。そのうえで「量的・質的金融緩和」を円滑に遂行していくために「財政健全化への取り組みが不可欠」との考えを示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕