裁判所の令状なく被告の車にGPS(全地球測位システム)端末を取り付けて捜査対象者の行動を確認した愛知県警の捜査手法が違法かどうかが争われた刑事裁判で、「違法」と認めた昨年6月の二審・名古屋高裁判決が確定する。最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)が、15日付の決定で被告の上告を棄却した。
令状なしのGPS捜査をめぐっては、最高裁大法廷が15日の判決で「プライバシー侵害で違法」とし、令状を出すにあたっては「法制化が望ましい」とする判断を示している。
第三小法廷の決定で上告が棄却されたのは、2013~14年に愛知県などで住宅や店舗に侵入し、現金などを盗んだとして窃盗罪などに問われた男性被告(45)。愛知県警が被告の車にGPS端末を取り付け、3カ月後に被告が気づいて取り外すまでに、1600回以上にわたって位置検索をしていた。
15年12月の一審・名古屋地裁判決は、GPS捜査は「プライバシー侵害で違法」と判断したが、関連する証拠から被告を懲役6年とした。二審判決も捜査を違法と認めたうえ「立法が必要」と言及したが、量刑は一審判決を維持した。