日銀の木内登英審議委員は5日午後、前橋市内で開いた金融経済懇談会後の記者会見で、日銀が昨年10月に決めた追加の金融緩和について「効果よりも副作用の方が多い」とし、「効果は徐々に低減していく」との見方を示した。
同委員は10月の会合で追加金融緩和に反対票を投じた。以後の会合でも政策委員会のメンバーの中で一人だけ反対し続けている。その理由として、緩和の効果は「(名目金利から物価上昇率を差し引いた)実質金利の低下が重要な源泉である」とし、「名目金利が下がり、期待インフレ率が世界的に上がりにくいなか、さらなる実質金利の低下は見込めない」と強調した。
日銀による大量の国債買い入れについては、「いずれ金融機関から国債を買い入れることができなくなるリスクがある」とし、金融政策の不確実性を高めないためにも「国債市場への圧力を弱めていくことも必要」と述べた。さらに「将来的にその時々に望ましい金融政策を行う必要がある」とし、政策の選択肢として「国債買い入れの減額」などを挙げた。
物価については、「足元の物価上昇率が日銀が目指す2%と大きく乖離(かいり)しているのは、原油安だけの影響ではない」と指摘した。そのうえで「物価の安定水準がどれくらいが適切なのか考える必要がある」と語った。〔日経QUICKニュース(NQN)〕