常総学院―秀岳館 一回表常総学院無死一塁、陶山は送りバントを決める=杉本康弘撮影
(18日、高校野球、秀岳館4―1常総学院)
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取手二と常総学院と茨城代表を2度夏の甲子園で優勝に導いた木内幸男監督。大胆な采配や機動力から「木内マジック」として知られる。木内監督から引き継いで5年目の常総学院・佐々木力監督は今回が3度目の夏の甲子園。18日、準々決勝の秀岳館戦でも足をからめた攻撃を仕掛けたが、1―4で負けた。
木内前監督の指揮の下、選手として全国制覇を果たした佐々木監督と松林康徳部長は木内マジックについて「マジックじゃない。確実性の野球だ」と口をそろえる。
木内前監督に木内マジックについて尋ねると、「観察力」との答えが返ってきた。「観察力と確実性は同じもの。選手の状態を見極め、より成功する可能性が高い戦術をとることだ」
16日の履正社戦。中村迅君(3年)は試合前、佐々木監督に「左投手は得意です」と伝えていた。言葉通り、2打席目で右翼線への三塁打を放った。
3打席目。五回無死一、三塁3ボール。長打で大量追加点を挙げる好機だったが、サインは「バント」。佐々木監督は「タイミングが合っていなかった。走者を確実に二塁に進めることを選んだ」と話す。
「確実性の野球」は継承されているが、選手たちに「木内マジック」について聞くと、「よくわからない」という。だが、佐々木監督は「選手たちはサインの意図を理解している」と話す。
茨城大会と甲子園の試合をみた木内前監督は「(自分の野球に)そっくりだ。次どう出るかも分かる」と話す。一方で「佐々木の方が度胸がある」ともいう。
14日の中京戦。1点を追う三回、無死無走者から9番鈴木海斗君(3年)が出塁すると、初球から盗塁のサインを出した。「アウトになればベンチが盛り下がる。おれにあんな度胸はない」と木内前監督は話す。
ほかにも変化はある。今のチームには長打を打つ選手もレギュラーに名を連ねる。今大会も2本の本塁打が出た。03年に優勝した時は本塁打はゼロだった。佐々木監督は「木内監督は長打は放てるけど守備がいまいちな選手は使わない。でも長打が出るとチームは勢いづく」と話す。(比留間陽介)