山梨県での金融経済懇談会に出席する日本銀行の木内登英審議委員=23日、甲府市
日本銀行の木内登英(たかひで)審議委員は23日、甲府市の金融経済懇談会であいさつし、長期金利(満期10年の国債利回り)を「ゼロ%程度」に抑える現在の日銀の金融政策について「国債市場の機能を著しく損ねて不安定化させる」と懸念を示した。昨秋の米大統領選以降、金利に上昇圧力がかかっており、「最初の試練を迎えている」とも述べた。
日銀は昨年9月に長期金利操作を導入し、国債を指定した利回り(価格)で無制限で買う「指し値オペ」などを実施して、「ゼロ%程度」に操作している。
木内氏は、こうした政策について「マイナスの側面も多くある」「金融市場全体の価格体系をゆがめかねない」と批判。すでに国債発行残高の4割程度を日銀が保有しているが、金利上昇を抑えるために「国債買い入れペースの一段の拡大を強いられるリスクがある」と指摘した。
木内氏は昨年1月に決定したマイナス金利政策と、9月の長期金利操作の導入にいずれも反対した。現在年間80兆円をめどとしている国債買い入れペースを、45兆円に減額する提案を続けている。(土居新平)