日銀は17日開いた金融政策決定会合で、年80兆円のペースで金融市場に資金を供給する現状の金融緩和の継続を決めた。原油安の影響で足元の物価上昇率は鈍化しているが、雇用の回復や賃上げの機運が高まっていることなどから、物価の上昇基調は崩れていないと判断した。
金融政策の現状維持を賛成8、反対1で決めた日銀の金融政策決定会合(17日午前)=共同
政策を決める9人のうち、黒田東彦総裁ら8人が金融政策の維持に賛成した。木内登英審議委員は昨年10月まで実施した「年60兆~70兆円の資金供給」が適当として反対した。1月に決めた貸出支援制度の拡充についての詳細も議論し、信用組合や労働金庫などが系統の中央機関を通じて制度を活用するなど細かな規則を定めた。17日から即日で実施する。
日銀は物価の基調を測る上で、春季労使交渉での賃上げの動向を注目している。17日の会合では賃上げに前向きな動きが広がっていることを確認したもようだ。ただ原油安の影響で消費者物価指数の上昇率は今春にもマイナスに転じるとの見方もある。次回以降の会合で、企業や個人の物価観に悪影響を及ぼさないか慎重に点検する方向だ。
景気については輸出や生産が改善していることから、前月までの「緩やかな回復基調を続けている」との基調判断を据え置いた。17日午後には黒田総裁が記者会見し、景気・物価の現状認識や今後の政策運営を説明する。