農林水産省は17日、今後10年の農業政策を示す「食料・農業・農村基本計画」をまとめた。国内で消費した食料をどれだけ国産で賄えるかを示す食料自給率の目標(カロリーベース)を50%から45%に下げる。新たな指標として、輸入せずに国内の農地をフル稼働してどの程度の食料を供給できるか示す「食料自給力」も公表し、国産で供給できるのは必要量を約3割下回るとした。
基本計画は17日に農相の諮問機関に提示する。食料自給率は1人1日当たりの国産供給熱量(939キロカロリー)を同総供給熱量(2424キロカロリー)で割って算出する。自給率目標は民主党政権が2010年に45%から50%に引き上げたが、足元では39%にとどまる。00年から掲げる自給率目標の引き下げは初めてで、25年度に45%を目指す。生産額ベースの自給率目標は高付加価値品を増やして70%から73%に上げる。
今回の基本計画には初めて「食料自給力」の指標を盛り込んだ。輸入が途絶えた場合の非常時の食生活を4パターン想定した。栄養バランスを考慮してコメなどの穀物を中心に熱量が最大になるように作付けした場合、国産だけで供給できるカロリーは1人1日当たり1495キロカロリーと必要量(2147キロカロリー)を約650キロカロリー下回った。1日ごはん2杯、うどん1杯、焼き魚1切れ、牛乳は5日にコップ1杯、焼き肉は10日に1皿などのメニューを想定している。
栄養バランスを考慮せずにイモ類を中心に作付けをすると、1日あたり2754キロカロリー供給できると試算した。必要量を約600キロカロリー上回るものの、主食は焼き芋に切り替わるほか、焼き肉は18日おきに1皿になる。
政府は与党内の議論を経たうえで、基本計画を今月内に閣議決定する予定だ。