事件の経緯
技能がないのに車を運転し兵庫県尼崎市内で死亡事故を起こした危険運転致死罪(未熟運転)の事件で、大阪家裁(永井裕之裁判長)は10日、少年(18)を少年院送致とする保護処分を決めた。この事件では刑事処分か保護処分か、家裁と地裁の裁判員裁判の判断が分かれ、決定が長引いていた。
地裁と家裁のはざまに1年半 死亡事故の少年、処分まだ
少年は2015年8月、同市内でワゴン車を運転。自転車の男性(当時80)をひいて、助けずに逃げたとして逮捕、起訴された。
決定は、少年が危険と判断しながら運転を続けたことなどから「事故の態様は極めて危険」などと非難。「刑事処分にし、責任を厳しく問うことも考えられる」とした。
一方、動機について「運転してみたいとの好奇心を抑えきれなかったというもの」と指摘。「事の善悪を吟味することなく行動に踏み切ってしまう資質上の問題点が影響し、運転を中止することに思いが至らなかった」と述べ、「保護処分の許容性がないほど犯情は悪質ではない」とした。
少年を刑事処分とすべきだとしていた被害者の長男、肥後剛さん(51)は「あまりに残酷な決定。被害者側が救われず、より深く傷つけられる」と憤りをあらわにした。少年に対しては「しっかり更生し、世の中のためになるような人間になってほしい」と語った。(釆沢嘉高)