【シリコンバレー=小川義也】交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックは17日、傘下の無料対話アプリ「メッセンジャー」を使った送金サービスを始めると発表した。フェイスブックの「友達」間に限定しているとはいえ、世界で5億人以上が利用するメッセンジャー上で簡単にお金のやりとりができる新サービスは、同様のサービスを手掛ける米ペイパルや米スクエアなどにとって脅威となりそうだ。
まず米国で段階的にサービスを導入する。日本を含む米国以外での提供時期は未定。スマートフォン(スマホ)やタブレットだけでなく、パソコンからも手数料なしで利用できる。
決済には米国の銀行が発行したビザかマスターカードのデビットカードを使う。最初に利用する際にデビットカードを登録すると、2回目以降はアプリ内に表示される「$」マークのボタンを押して金額を指定するだけで送金できる。
詐欺などの不正行為から利用者を保護するため、1回に送ることができる金額には上限を設ける。利用者はパスワードを設定するか、米アップルの指紋認証機能「タッチID」を利用して安全性を高めることもできる。
登録したデビットカード情報を含む取引記録は暗号化した上で、他のサービスとは別の場所で厳重に管理する。フェイスブックは2007年から有料ゲームの課金などを手掛けており、1日100万件の取引実績があるという。
対話アプリを使った送金サービスは、中国の騰訊控股(テンセント)が運営する「微信(ウィーチャット)」や米スナップチャットなどが先行している。フェイスブックは昨年6月にペイパルの前社長をメッセンジャー事業のトップに迎え、送金サービス参入の準備を進めていた。