政府は18日、サイバー攻撃への対処の早さを省庁対抗で競う訓練を都内で開いた。警察庁や防衛省、総務省、金融庁など12省庁のそれぞれ担当者3~4人が1チームとなり、腕を競った。省庁対抗の競技形式の訓練は初めて。優勝したのは警察庁のチームだった。順位付けすることで、省庁間の競争意識を促し、政府全体のサイバー対応力を底上げする狙いがある。
訓練は政府のサイバー対策機関「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」が中心となって実施した。政府機関を狙ったサイバー攻撃が発生したと想定。(1)攻撃の発見(2)被害端末の特定(3)攻撃者の特定(4)被害状況の把握と対応策の実施――の一連の対応で、かかった時間を競った。
官邸で開いた表彰式で菅義偉官房長官は「サイバー攻撃への対応はまさに国家の安全保障、危機管理上極めて重要だ」と強調し、優勝した警察庁に「さすが警察庁という思いだ」と祝辞を述べた。一方で、総務省や防衛省を念頭に「残念な結果に終わった役所は猛省をし、しっかりと対応してほしい」とくぎも刺していた。
日本の政府機関へのサイバー攻撃は2013年度に508万件に達し、12年度と比べて5倍に急増した。20年の東京五輪にはさらなる攻撃の増加が予想される。NISC幹部は「(今回の訓練を)霞が関の防御能力をさらに高めていくためのきっかけとしたい」と話す。