九州電力と中国電力は18日、臨時取締役会を開き玄海原子力発電所1号機(佐賀県玄海町)と島根原発1号機(松江市)の廃炉を正式に決めた。九電の瓜生道明社長と中国電の苅田知英社長はそれぞれ原発が立地する自治体を訪れ、関係者に理由や経緯を説明した。苅田社長は訪問後、記者団に「運転延長は(廃炉に比べ)経済的に劣る」と理由を述べた。
玄海1号機はまもなく運転開始から40年、島根1号機は41年を迎える。2基とも出力は55万9000キロワット、46万キロワットと各社が再稼働の準備を進める100万キロワット級の原発に比べ小さい。新たな規制基準を満たすには大規模な投資が必要で、コストに見合わないと判断した。
同日、九電の瓜生社長は佐賀県庁を訪れ、坂井浩毅副知事に経緯などを説明。今後の廃炉作業について坂井副知事は「安全第一に万全を期してもらいたい」と要望した。
島根県庁を訪れた中国電の苅田社長は溝口善兵衛知事などとの会談で「30~40年かかる作業。安全最優先で真摯に取り組みたい」と伝えた。溝口知事は「廃炉の審査申請は県、松江市の事前了解が必要だ」と応じた。
運転開始から40年超の原発を新基準に適合させるには、地震対策工事や電源ケーブルを取り換えるなど1000億円以上の投資が必要だ。中国電によると、島根1号機の廃炉費用を378億円と見積もっており、現時点で341億円を積み立て済みだ。