主将の福元(左)はランメニューでも先頭を走って仲間を引っ張る
■選抜高校野球 話題校
「2班に分かれよう。1班はこっちでダッシュ。2班は室内でトレーニングから!」
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智弁学園のグラウンドに福元主将の声が響くと、副主将の太田が続いた。「よし、いこう!」。即座に反応する仲間たち。2月下旬の晴れた日。無駄のない流れで、前回王者の練習が始まった。
全員で足並みをそろえて走る時、短距離ダッシュをする時、キャッチボール……。順調に流れる練習で常に先頭で動き出すのが、福元と太田だ。選抜初優勝の歓喜にわいた1年前、下級生ながら主軸として活躍した2人が、立派なリーダーに育っている。
福元は昨春、4番として2回戦で本塁打を放った。夏も甲子園に戻ると、3番の太田は1回戦で中越えにたたき込んだ。
「今年は引っ張る立場。他の選手よりも1回でも多くバットを振ろうと意識している」と福元が言えば、太田も「甲子園はなかなか行けない場所。楽しめるか、悔いを残してしまうか。余裕をもって楽しめるように練習からやろうと、みんなに言っています」。
思いはしっかり仲間に伝わっている。小坂監督が手応えを口にする。「この代は何をやるにも嫌な顔をせず、歴代の先輩以上のことをしようという意識の高さがある」
史上3校目の「春連覇」へ。「打線は去年より上」が監督評だ。選抜では福元が1番、太田が4番に座る予定で、前後には俊足の選手がそろう。特に外野手の加堂や左向らは50メートルを6秒0前後で走り、「これだけ走れる選手がいるのは初めて」と小坂監督。
投手陣も右腕の松本、左腕の岩井とバランスが良いが、松本は足のけがで調整が遅れ気味だ。昨年はエース村上を中心に守り勝つ野球だったが、この春は足を絡めた攻撃力で勝負をかける。(山口史朗)