【シンガポール=吉田渉】シンガポール首相府は23日、同国のリー・クアンユー元首相が同日午前3時18分、同国内の病院で死去したと発表した。91歳だった。同氏は2月上旬に肺炎で入院し、治療を受けていた。1965年の独立から25年にわたり首相を務め、強力な指導力で同国を世界有数の富裕国に引き上げた。現首相のリー・シェンロン氏は長男。
シンガポールのリー・クアンユー元首相が死去。入院していたシンガポール総合病院前に設置された献花台(23日午前)=写真 小林健
リー氏の訃報は同日未明に首相府が声明を通じて発表した。葬儀などの詳細は追って発表するとしている。トニー・タン大統領は自身のフェイスブックで「リー氏の先見性と発展への絶え間ない追求が無ければ、現在のシンガポールは存在しなかった」と述べた。
リー氏は59年に英連邦自治州の首相に就任した。これも含めると首相在任期間は31年間に及ぶ。
経済成長を追い求め、異論を許さない統治手法は「独裁」との批判を受けることもあった。だが独立当時の1人当たりGDPは500ドル強にすぎなかったが、2014年は約5万6千ドルとアジアで最も豊かな国になった。
東南アジア諸国連合(ASEAN)の創設に尽力し、アジアを代表する指導者として世界で存在感を発揮した。日米中の大国とバランスのとれた外交関係を築き、シンガポールとASEANの独立維持に貢献した。
日本への関心も高く、95年から日本経済新聞社が主催する国際交流会議「アジアの未来」に参加した。