中国科学院東北地理・農業生態研究所によると、宋開山研究員のチームと提携先はリモートセンシング技術などの手段を利用し水の富栄養化の程度をモニタリングし、事前に藍藻類の大発生について早期警報を行い、水に含まれるフィコトキシンの濃度を定量推算できる。この成果は太湖や巢湖ですでに使用されている。新華社が伝えた。
水の富栄養化は主に、藻類が窒素やリンなど大量の栄養物質が水域に入り、藻類が急速に繁殖することで生じる。藻類が死滅すると水域の溶存酸素を大量に消耗することにより、魚などの生物の大量死、水の生態系の崩壊が生じる。藻類の大量死滅により水域が悪臭を放つようになる。一部の水藻(藍藻類)はさらに毒素を生み、深刻な汚染を引き起こす。
宋氏のチームと中国科学院南京地理・湖沼研究所の研究員である段洪涛氏、施坤氏らは衛星リモートセンシングと実地調査を結びつけ、リモートセンシングモデルを構築し、水の透明度、葉緑素、窒素とリンの含有量を計算することで、湖沼とダムの富栄養化の程度をモニタリングする。さらにはフィコトキシンの濃度を推算できる。宋氏によると、カギとなる変数である、藍藻類に特有の指示的色素「フィコシアニン」をモデルに取り入れたことが革新的な点だ。フィコシアニンは良好なスペクトル特性があり、リモートセンシング技術で識別できる。さらに藍藻類の濃度を正確に反映し、リモートセンシング技術による藍藻類の濃度促成の精度を高めることもできる。これもフィコトキシン濃度を見積もる鍵になる。
チームは15年の研究にわたり、SCI収録論文を127本発表し、今年の吉林省科学技術賞一等賞を受賞した。この成果は現在すでに使用されている。チームと提携先は太湖と巢湖で動的モニタリングを行い、藍藻類の大発生を事前に早期警報を行うとともに、対策法を提供している。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年11月19日