【カイロ=押野真也】エジプトで開催したアラブ連盟の首脳会合は29日、2日目の討議を終えて閉幕した。各国の首脳はサウジアラビアなどによるイエメンへの軍事介入を支持し、加盟国による「合同軍」の創設でも合意した。
閉幕の演説でアラブ連盟のアラビ事務局長は、イエメンへの軍事介入を支持する声明を発表。イエメンで活動するイスラム教シーア派の武装組織「フーシ」を批判し、「(フーシが)武器を放棄し、占拠している地域から撤退するまで軍事介入を続ける」と述べた。
28日にはエジプトのシシ大統領とサウジのサルマン国王、イエメンのハディ暫定大統領の3首脳が会談。イエメンやリビア、シリアなどアラブ諸国は「かつてない危機に直面している」との認識で一致した。
事態の打開にはアラブ諸国の連携が不可欠で、アラブ連盟加盟国による合同軍の役割が重要との認識でも一致した。今後、加盟各国で合同軍の創設に向けて具体的な兵力の規模や使用する基地などについての協議が始まる見通しだ。
ただ、イエメンへの軍事介入を巡って、加盟国であるイラクが慎重姿勢を見せるなど、加盟国の利害は完全には一致していない。宗派や主導権を巡る争いが起こることも予想されており、実際に合同軍が創設されても、部隊運用には時間がかかりそうだ。