基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)の長谷部光泰教授らの研究チームは、北米原産の食虫植物サラセニアが袋状の葉を作る構造を初めて解明したと発表した。葉はもともと平らで、場所によって細胞分裂の方向が異なり、独特の形に変化する。研究成果は英科学誌に掲載された。
サラセニアは、消化液を分泌する袋状の葉に落ちたハエやアリを消化吸収して栄養を取る。チームによると、約3500万年前からこの形態の葉を作っていたが、進化の過程はこれまで不明だった。
チームは今回、光学顕微鏡で2千枚以上の葉の断面図を観察し、遺伝子解析も行った。葉の先端部分は普通の植物と同じように細胞分裂を繰り返し、横に広がる。一方、葉の中央や付け根は縦に広がって袋の形になっていくのが分かった。
研究に参加した総合研究大学院大の大学院生の福島健児さんは「今後は同じ機能を持つ植物も研究し、食虫植物の突然変異について明らかにしていきたい」と話している。〔共同〕