インターネットで申し込み、宅配便で衣類の受け渡しをする「ネット型宅配クリーニング」をめぐり、衣類の紛失や補償、業者の対応などトラブルの相談が急増している。店舗に持ち込まなくても済む一方で、消費者と業者が対面しないことが原因のトラブルが多い。国民生活センターはサービス内容や業者の連絡先をよく確認するよう消費者に呼びかけている。
ネット型宅配クリーニングは最近、テレビCMなどでPRするようになり急速に普及している。30~40代の仕事を持つ女性の利用が多いという。
国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられたクリーニング全体の相談件数は、2009年度の7645件から年々減少し、13年度は6015件。その一方で、ネット型宅配クリーニングの相談は、09年度は17件だったが、13年度は56件となり、今年度は1月末までで156件と急増している。
相談内容は「業者が衣類を紛失した」「キャンセルに応じてくれない」「クリーニング事故にきちんと対応してくれない」などが目立つ。
消費生活センターに寄せられた相談によると、30代の女性はネットで衣類のクリーニングと保管サービスを業者に申し込んだ。その後、住所が変わったため連絡したところ、業者は「宅配業者から衣類を受け取っていない」と主張したという。結局、業者が紛失したことが判明したが、女性は「業者は『探す』と言っているが、何の連絡もない」と訴えている。
40代の女性は、ワンピースのクリーニングを依頼したつもりが、業者は「パーティードレス」と判断して5倍の代金を請求。女性がキャンセルを申し出ても応じてもらえなかったという。また、業者の手違いで25万円のコートが破損したにもかかわらず、「補償上限は1万円」と言われたケースもあった。
ネット型宅配クリーニングについて、国民生活センターの担当者は「割安さに加え、休日でも自宅で衣類を受け渡しできる点から利用が増えているのではないか」と指摘。「トラブルを避けるため、預ける衣類のリストや写真を用意して業者に渡したり、連絡先や補償の基準などをネットで見るだけでなく直接業者に問い合わせたりしてから利用してほしい」と呼びかけている。