千葉県は30日、千葉市の幕張新都心で進める大規模マンションの開発事業者に三井不動産や三菱地所、野村不動産の3社を中心とするグループを選定したと正式発表した。総事業費は1800億円で、約4300戸を供給する首都圏最大級のプロジェクトになる。子育て世帯をターゲットに価格を抑えた物件を整備する見通しで、最終的な居住人口は約1万人を見込む。
開発対象はJR京葉線の海浜幕張駅から徒歩10分の「若葉住宅地区」。土地を所有する県が3社を中心とする「幕張新都心若葉住宅地区街づくり検討グループ」(仮称)を事業予定者に選んだ。伊藤忠商事グループや丸紅のほか、千葉銀行や京葉銀行、千葉興業銀行がそれぞれ出資する不動産会社3社も参加する。
検討グループは今夏までに、土地約17ヘクタールを280億円で購入。2016年に着工し、超高層(46階建て)の3棟を含むマンションや商業施設、医療モールなどを約15年かけて整備する。カフェや集会所機能を備えた拠点なども設ける。
マンションの販売価格は「建築費高騰もあるため未定」(事業予定者)。ただ、周辺相場などを勘案すると、「4000万円前後であれば需要はあるのではないか」(関係者)とみている。
若葉住宅地区は千葉県が1970年代に整備した。もともとは文教地区として大学や研究所の集積を目指したが、早稲田大学の誘致を巡り、埼玉県所沢市との競争に敗れた。このため、08年に住宅用地としての利用にかじを切った。
国土交通省が発表した15年1月1日時点の公示地価によると、幕張新都心を含む千葉市美浜区の住宅地は前年比2.1%の下落だった。同区内は東日本大震災で液状化被害を受けたことから、地価の下落が続いている。
ただ、幕張新都心はJR東京駅から電車で約40分と、東京都心への通勤が比較的便利な場所。周辺では商業施設やホテルの新増設も相次いでいる。
不動産経済研究所(東京・新宿)は「マンション開発は都心回帰が進んでおり、郊外に広がる動きは弱い。ただ、都心から離れていても主要駅の近くであれば、子育て世帯を中心に需要はある」としている。