北朝鮮人の容疑者の男4人が借りていたクアラルンプール南部のマンション(右)。窓からは市内を見渡せる=乗京真知撮影
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件で、在マレーシアの北朝鮮大使館員が事件前、殺害を実行した容疑者グループの拠点とされるマンションを訪ねていたと、地元メディアが8日伝えた。マレーシア警察は、大使館員が犯行の準備段階から容疑者グループらと接触を重ねていた疑いがあるとみて調べている。
金正男氏殺害
大使館員は、警察が重要参考人に指定している40代のヒョン・クァンソン2等書記官。マレーシアのテレビ局「TV3」が報じた監視カメラの映像によると、ヒョン書記官は昨年11月28日、外交官用のナンバープレートをつけた黒塗りの乗用車でマンションを訪問。正門の車止めで停車したところで助手席から降り、アジア人風の男性ら2人と言葉を交わす様子が映っていた。TV3は関係者の話として、同車両が繰り返しマンションを訪ねていたと伝えた。
マンションは、クアラルンプール南部にあるプール付きの高級新築物件。警察が事件発生から10日後の2月23日、このマンションの一室を捜索し、複数の化学物質を押収していた。部屋は、殺害現場の空港で犯行を見届け、直後に出国した北朝鮮人の男4人が借りていたという。警察は、実行班がマンションを拠点に、少なくとも約3カ月前から準備を本格化させたとみて映像の分析を進めている。(クアラルンプール=乗京真知、古谷祐伸)