政府は31日の閣議で、首都直下地震対策を定めた基本計画を改定、最悪2万3千人と想定される死者数、61万棟とされる全壊・焼失の建物数を10年間で半減させる目標を示した。数値目標を掲げて住宅の耐震化率向上や木造住宅密集地での火災防止策を進める。政府の中枢機能を維持するための対策も打ち出した。
首都直下地震の発生確率は今後30年間で70%程度とされており、建物の倒壊や火災による被害が大きいとされる。
改定した計画では、建物の倒壊やこれに伴う死傷者を減らすため、2008年時点で79%となっている全国の住宅耐震化率を20年までに95%に引き上げる目標を示した。
このほか、家具の固定率を65%(13年度40%)に高め、東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県では防災拠点となる公共施設の耐震化率を100%(同92%)にする。
大規模な火災の発生が懸念されている木造住宅密集地では、地震の揺れを感知して通電を遮断する「感震ブレーカー」の普及を進め、24年までに設置率を25%に引き上げる目標を示した。
1都3県には現在、老朽家屋が多く、路地が細いなど「著しく危険な密集市街地」が11年度時点で約2500ヘクタールあるとされており、住宅の建て替えや移転を促すなどして20年までにゼロに近づける。
首都中枢機能を維持するための行政機関の対策も決めた。全省庁が首都直下地震発生時の対応に必要な職員数をあらかじめ定め、職員を集める具体的な計画をつくる。こうした職員向けの食料などの備蓄や、代替庁舎の確保も16年までに完了させる。
このほか、臨海部の石油コンビナート火災などの特殊災害に対応する消防の専門部隊を新設し、18年度までに全国に12部隊を配置するとした。
中央防災会議が2013年12月に公表した首都直下地震の被害想定では、東京都心南部を震源とするM(マグニチュード)7.3の地震が発生した場合、死者は最悪2万3千人、全壊・焼失する建物61万棟、経済被害95兆円と試算された。