【イスタンブール支局】ギリシャのチプラス首相は30日夜に議会演説し、欧州連合(EU)などからの金融支援に関連し「返済には債務再編が必要だ」と強調した。支援継続の前提となる財政構造改革案を提出したばかりだが、EUと国際通貨基金(IMF)はより詳細な改革案を求めている。融資実行に不透明感が強まり、債権者や市場のギリシャ不信が一層強まる恐れがある。
チプラス氏は「公正な妥協を求める。無条件の合意を期待すべきではない」とし、返済負担の軽減を求めた。債務履行の順守を盛り込んだ2月20日のユーロ圏財務相会合での合意は「実行する用意がある」とも述べ、債権者から有利な条件を引き出す狙いとみられる。
ギリシャ政府は27日、徴税強化などを通じた30億ユーロ(約3900億円)の歳入底上げを柱とする改革案をEUなどに提出した。ギリシャ側は30日にも臨時のユーロ圏財務相会合を開いて改革案を協議することをEU側に求めていた。一方、同会合を準備する作業部会は、EU側が金融支援の議論を本格化させるには「さらに詳細な改革案の提示が必要だ」と事実上突き返した。
チプラス氏は議会演説で強硬姿勢を示すことで、国内の世論や民営化政策などに反対する与党内の一部勢力の離反を防ごうとする意図もうかがえる。ただ、ギリシャが望む即時の融資実行は困難な情勢だ。資金繰りは厳しさを増し、4月にも国庫が空になるとの試算もある。10年物ギリシャ国債の利回りは30日に11%台に乗せた。
ギリシャ支援の最大拠出国であるドイツなどが反発するのは必至だ。ロイター通信によると、メルケル独首相は30日、「ギリシャが我々すべての期待に沿うことができるか、期待に応える意向があるのかが焦点だ」と指摘。改革案が欧州の関係各国の合意を得られる内容になる必要があるとの姿勢を改めて強調した。