【カイロ=押野真也】イラクのアバディ首相は3月31日に過激派「イスラム国」(IS=Islamic State)から北部の要衝、ティクリートをイラク軍が奪還したと発表した。同じくISが実効支配するイラク第2の都市モスルを取り戻す上で重要な戦果となる。
31日、ISの旗を持ちティクリート奪還を喜ぶイラク政府軍ら=ロイター
ティクリートは首都のバグダッドと北部の油田地帯にあるモスルの中間に当たる要衝の一つ。国営メディアはティクリート中心部からISの戦闘員が排除され、行政庁舎などにイラクの国旗がはためき、市民が歓声をあげていると報じている。米軍や有志連合の空爆支援を受け、31日にアバディ首相が「ティクリート全体を解放した」と宣言した。
ただイラク軍はティクリート奪還後も同地で警戒を緩めていない。現地メディアによると、ISの戦闘員が市街地に隠れたり、爆発物を仕掛けたりしていないか、慎重に調べている。ティクリートは多くの一般市民が住み、集合住宅などにISの戦闘員や武器・弾薬が隠されていることも多いとされる。
一方、アーネスト米大統領報道官は31日、アバディ首相のティクリート奪還の発表を受け、「空爆が意図した効力を発揮した」と述べた。米軍は3月下旬、イラク軍地上部隊を支援する目的でティクリートへの空爆を行うと発表していた。