株式上場を目指す日本郵政は1日、2015年度からの中期経営計画を発表した。傘下のゆうちょ銀行は17年度に外国債券や株式への投資を現状より3割多い60兆円とし運用収益を増やす計画だ。日本郵便の宅配便「ゆうパック」事業の黒字化は1年遅れる。外債や株などのリスク投資を増やし上場後のグループの収益を下支えする狙いだ。
記者会見する日本郵政の西室社長(1日、東京都千代田区)
日本郵政の株式上場は今秋の予定で、31日に東京証券取引所に上場の予備申請をした。
グループの収益の大半を稼ぐゆうちょ銀は200兆円超の運用資産のうち100兆円超を国債で運用する。3月末時点でのリスク資産投資は31.6兆円の外債、約2兆円の株式など合計46兆円だが、向こう3年で14兆円積み増す。
日銀の異次元緩和に伴う金利低下でゆうちょ銀の国債での運用収益は今後悪化するのが確実な情勢だ。リスク資産投資拡大により収益を下支えし、17年度にはゆうちょ銀で3300億円の純利益を確保。14年度見込み(3500億円)とほぼ同水準の利益を維持したい考えだ。
親会社の日本郵政の17年度の連結純利益は14年度の見込みに比べ7%多い4500億円を見込む。かんぽ生命も新規契約を増やすなどして、800億円の純利益を確保する計画だ。
一方、日本郵便は15年度中を目指していたゆうパック事業の黒字化を16年度に持ち越した。競争激化で立て直しが遅れているためで、豪物流大手のトール・ホールディングスの買収をテコに国際物流分野を拡大し事業再建を急ぐ。
日本郵政は傘下のゆうちょ銀とかんぽ生命とあわせ合計3社の株式を今秋にも同時に上場する計画だ。上場の成功に向け、グループの成長戦略をどう描くかが課題になっている。