政府は3日の閣議で、医療や保育などの規制を地域を限定して緩和する国家戦略特区法改正案を決定した。地方の医師不足解消に向けて外国人医師の受け入れを拡大したり、都市部の公園に保育園を設置できるようにしたりする。ただ、企業の農業参入促進など一部の緩和策は先送りされた。
今国会で成立し、今秋にも施行される見通しだ。政府は施行後に特区の地域指定や運用を始める方針だ。
外国人医師は現在、設備や人材の整った大規模な病院に限定されているが、改正案は研修目的の外国人医師を受け入れる「臨床修練制度」を拡充。指導医が確保できれば地方の小規模な診療所でも働けるようにする。
都市部の公園への保育園設置は、都市公園に遊具やスポーツ施設しか設置できない現行規制を緩和する。都市部は保育施設向けの用地が不足しており、待機児童解消の切り札とする。保育士不足解消に向けて、年1回の保育士試験を政令指定都市が独自に年2回実施できるようにする。
農業分野では当初、企業が農業生産法人に出資できる比率を現行の25%から50%超に緩和し、実質的に企業の農地保有を解禁する方針だったが、農林水産省などの抵抗で改正案には盛り込まれなかった。