ホワイトハウスを狙う2度目の大統領選出馬表明が長らく待たれているヒラリー・クリントン氏。発表に向けて準備が進むなか、クリントン氏の顧問らは、同氏の出馬を必然とみる雰囲気を振り払う新戦略をうたっている。
クリントン氏のチームは、こぢんまりした親密なイベントを通じ、同氏の人生の物語にしっかり焦点を当てることで、失敗に終わった2008年の選挙戦当時よりずっと個人的な形で有権者と関係を持つことを期待している。
幼児を見守るヒラリー・クリントン氏(左)。同氏は幼児へ読み聞かせをする活動を推進している(1日、ニューヨーク)=AP
バラク・オバマ大統領に惨敗した記憶がまだ強く残っているアイオワ州では、このブランド再構築の一環として、クリントン氏に思いも寄らぬ役割を与えることになる。勝ち目のない弱小候補の役割がそれだ。
一度は民主党の候補指名獲得へまい進するとみられた選挙運動の歯車が狂ったのは、「ホークアイ・ステート(タカの目州)」として知られるアイオワ州だった。
あれから7年たった今、党の活動家や運動員との懸け橋を再建しようとするチーム・クリントンの努力は多くの意味で、16年の大統領選に向けたクリントン氏の選挙運動が直面する大きな課題の縮図だ。
20年以上も世間の目にさらされ、大半の人がすでに強い意見を持っている候補について、どうやって有権者を興奮させるのか?
一挙一動が何百人もの報道陣に追跡されることになる人物と有権者が持ちたいと思う親密な接触をどうやって育むのか?
政治家一族のブッシュ家の子息で元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏と再度対戦する可能性を考えると、どうやって「クリントン疲れ」と戦えばいいのか?
党員集会システムを通じて全米で最初に大統領選の論戦に参加する州として、アイオワは長年、米国の政治情勢において大きすぎるほどの役割を担ってきた。アイオワ州は、両党の指名候補を選ぶことにかけては実績がまちまちで、有権者全体の代表になるには白人と福音派キリスト教徒が多すぎ、地方色が強すぎると頻繁に批判される。一方、各候補の草の根団体と、そうした団体がメッセージを一般有権者に共感してもらえるかを試す、極めて重要な初期のテストの場だ。
■「大衆政治に無関心」と批判
クリントン氏は08年選挙のサイクルで、大勢の人と握手をし、赤ちゃんにキスするといった米国中部での成功に絶対不可欠な類いの大衆政治に無関心に見えると批判された。顧問らは、今回はアイオワでより情熱的、積極的な選挙運動を展開すると主張する。