【ペリリュー(パラオ)=朝倉侑平】戦没者慰霊のため西太平洋のパラオを訪問中の天皇、皇后両陛下は9日午前、太平洋戦争の激戦地だったペリリュー島を訪れ、日米の慰霊碑に供花された。同島では激しい地上戦で日本側約1万人、米側約1700人が戦死した。両陛下は戦場で犠牲になった全ての人々を追悼し、平和への願いを新たにされた。
「西太平洋戦没者の碑」に供花される天皇、皇后両陛下(9日午前、パラオ・ペリリュー島)=写真 寺沢将幸
両陛下は同日午前、宿泊先となった海上保安庁の巡視船「あきつしま」の船上からヘリコプターでペリリュー島に向かわれた。到着後、島南部にある日本政府建立の「西太平洋戦没者の碑」を訪問し、供花台に白菊を供えて拝礼された。パラオのほか、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島の大統領夫妻も参列して犠牲者を追悼した。
両陛下はその後、米軍の戦没者をまつる「米陸軍第81歩兵師団慰霊碑」を訪問。慰霊碑は1944年9月に米軍が上陸し、米側にも多くの戦死者が出た「オレンジビーチ」近くに立つ。
慰霊を終えた両陛下はペリリュー島の島民と交流し、同日夜にチャーター機で帰国される。
両陛下はこれまで戦争犠牲者に心を寄せ、節目ごとに慰霊されてきた。戦後50年の1995年には国内の戦災地を歴訪する「慰霊の旅」を実施。原爆被災地の長崎や広島、住民を巻き込んだ地上戦があった沖縄、空襲で多数の市民が犠牲になった東京で、それぞれ戦没者を慰霊された。
戦後60年の2005年には太平洋戦争の激戦地だった北マリアナ諸島の米サイパン島を訪問。日米の慰霊碑に供花したほか、追い詰められた日本人が身を投げた「スーサイドクリフ」や「バンザイクリフ」で黙とうされた。
天皇陛下は戦後70年となる今年の年頭にあたり、「この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」との所感を文書で公表されていた。