ブリュッセルで9日、EU首脳会議中に会見するEUのトゥスク常任議長=AFP時事
欧州連合(EU)は9日、ブリュッセルで首脳会議を開き、5月末で2年半の任期が切れるトゥスク常任議長(大統領に相当)の再任を決めた。任期は19年11月末まで。同氏の出身国ポーランドが反対し、異例の多数決となったが、他の国々が賛成した。
ポーランドの与党「法と正義」はトゥスク氏が首相だった時の野党で、司法の権限や報道の自由を制限しかねない法改正を実施。法の支配の原則に違反する可能性があるとして、EUが調査を続けている。
トゥスク氏は、難民危機への対応など加盟国の意見が割れる場面で、手堅い交渉手腕を発揮しており、ドイツのメルケル首相ら大半の首脳が首脳会議を前に再任への賛成を表明していた。トゥスク氏は会見で「より良い欧州、さらなる統合のために働く」と抱負を述べた。
また、今回の首脳会議では、米国のトランプ政権の保護主義的な姿勢を受け、改めて自由貿易を推進する方針でも一致。日本と交渉を進めている経済連携協定(EPA)については「迅速に進展させる」とした。ユンケル欧州委員長(首相に相当)によると、21日に安倍晋三首相がブリュッセルを訪問する予定という。(ブリュッセル=吉田美智子、渡辺志帆)