12日投開票された静岡、浜松の両政令市長選はともに現職が圧勝した。新人の2人と争った静岡市の田辺信宏氏(53)は満遍なく票を集めて再選。8年ぶりの選挙となった浜松市の鈴木康友氏(57)も早々と3選を決めた。人口減対策など地方創生が争点となったが、静岡の投票率は初めて50%を切り、8年前の投票率を13ポイント下回った浜松も過去最低を記録した。
田辺氏は当選が確実となった12日午後8時すぎ、葵区の選挙事務所で100人を超す支持者らと万歳三唱。イメージカラーの緑に染めた選挙戦用の鉢巻きを、スーツ姿の首にストールのように巻き、「子育て支援の一層の充実を図り、医療と介護が連携した環境整備を進める」などと2期目の抱負を語った。
4年前と同様、推薦を受けた自民などの組織票をバックに手堅い選挙戦を展開。前回の約13万5000票から約5万票の上積みを目指し、清水区を重点に置いた。陣営幹部は「目標達成には50%以上の投票率が必要」としていた。今回の投票率は48.42%で前回を4ポイント強下回ったが、市長選では過去最多となる18万4856票を集めた。
新人の薬局チェーン役員、高田都子(ともこ)氏(62)は「初の女性市長を」と訴え、浮動票に的を絞った戦いを展開した。しかし、過去最低の投票率は田辺氏に有利に働く格好となり、得票数は葵、駿河、清水の全3区で大きく水をあけられた。「静岡を変えることができず、大変残念」と敗戦の弁を語った。
共産推薦の新人、松浦敏夫氏(62)は「福祉や中小企業支援の充実が人口減対策につながる」と訴えたが、得票数は3番手に甘んじた。