【ワシントン=矢沢俊樹】米財務省が15日発表した国際資本統計によると、2015年2月末の各国別の米国債保有額は日本が08年8月以来、6年半ぶりに中国を抜いて首位になった。両国とも保有額を前月比で減らしたが、中国の減少額が日本を上回った。中国が通貨・人民元市場への為替介入を絞っていることが一因との見方もある。
日本は日本国債の金利低下で利回りが相対的に高い米国債への投資が高水準を維持したようだ。2月末の日本の保有残高は1兆2244億ドル(約147兆円)で、中国の1兆2237億ドルを超えた。日本は前月比142億ドル減、中国は154億ドル減だった。中国は6カ月連続で保有額を減らした。
中国当局は自国の景気減速や資本流出に伴い、昨年からドル買い・人民元売りの為替介入を「大きく手控えている」(国際金融当局筋)とされる。米国債の保有額の減少にもこうした同国の通貨政策が影響を及ぼしているといえそうだ。
一方、日本は日銀による異次元緩和で、長期金利が15年に入り一時0.2%を割り込むなど、歴史的に低い水準にある。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をはじめ邦銀や生命保険会社といった機関投資家は、これまで日本国債での運用を基本としてきたが、相対的に高利回りな米国債への投資を増やしている。