奈良県の寺社を中心に油のような液体が相次いでまかれている事件で、被害に遭った信貴山朝護孫子寺(奈良県平群町)の本堂に設置された防犯カメラに3月、液体をまくようなしぐさをする不審な男が映っていたことが21日、捜査関係者や寺への取材で分かった。
捜査関係者や寺によると、男は成人とみられ、フード付きの上着姿で、首からカメラを下げていた。3月下旬の夕方で、本堂前のさい銭箱の下部に、手をかざすような様子が映っていた。映像は逆光だったため、一部は鮮明でないという。
奈良県内で被害に遭った他の複数の寺社の防犯カメラにも格好が似た男が映っていたことも判明。県警は映像の分析を進め、文化財保護法違反などの疑いで捜査している。
信貴山朝護孫子寺では4月9日、さい銭箱の下側などに液体がまかれているのを寺の関係者が発見。さい銭箱は金属製のため液体は染み込まず、残っていた。
県警によると、県内では19カ所の寺社で被害が見つかった。朝護孫子寺や長谷寺(桜井市)など8寺社でまかれた液体は同種とみられ、同一犯の可能性があるという。
この8寺社以外でも、3種類の液体が確認されている。被害は奈良県を含め11府県の寺社・城に及んでいることから、県警は模倣犯もいる可能性も含めて調べている。〔共同〕