インサイダー情報を知った後に従業員持ち株会への拠出額を増やすなどしたとして、証券取引等監視委員会は24日、金融商品取引法違反の疑いで東証マザーズ上場の「モルフォ」(東京都)の社員ら7人に2万~11万円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告した。
持ち株会への拠出額の増額について、インサイダー取引と認めて課徴金納付命令を勧告するのは初めてという。7人とは別に、情報をもとに市場から直接自社の株を買い付けたとして、役員を含む3人についても勧告した。
監視委によると、7人は同社が自動車部品大手のデンソーと業務提携することを2015年12月に発表する前に知り、持ち株会に新たに入会したり、月々の拠出額を増やしたりした。業務提携の発表後、モルフォの株は急騰したが、7人は市場での売却はしていないという。
金商法の規定では、毎月定額を持ち株会に拠出する場合、一定額まではインサイダー取引規制の対象から外れる。ただ、今回のようにインサイダー情報を知った後に、新たに持ち株会に入会したり、月々の拠出額を増やしたりした場合、規制の対象になるという。(久保田一道)