慶応義塾大学や理化学研究所は移植用に摘出した臓器を長時間保存する技術を開発した。赤血球や栄養分を含む培養液に浸し、細胞に必要な成分や酸素が行き渡るようにする。新技術で24時間保存したラットの肝臓を別のラットに移す実験では、9例ともすべて生き続けた。冷やして保存する従来法では、生存率は20%だった。海外など遠くで提供された臓器の移植に道を開くという。 研究成果は英オンライン科学誌に掲載された。 臓器移植は提供者(ドナー)不足が深刻だ。移植を待つ患者に対する移植患者の割合は日本は15%程度。ドナーから取り出した臓器を遠くに運べば移植の機会が広がる。 高さ2メートル、幅3メートルの装置に培養液を入れ、セ氏22度に抑えて臓器の鮮度を保つ。今後はブタでも実験する。3年後には肝臓移植向けの研究を始める予定だ。 理研の辻孝チームリーダーは「現在は限られた地域内で移植用臓器をやり取りするが、24時間保存できれば国内全域に広がる」と話した。 装置は4000万円以上するが、小型化して2000万円程度に抑えたいという。 |
慶大など、摘出臓器を長時間保存 ドナー不足解消に道
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