【ニューヨーク=山下晃】23日の米国株式市場でナスダック総合株価指数が4日続伸し、2000年3月のIT(情報技術)バブル以来、約15年ぶりに過去最高値を更新した。15年1~3月期決算への期待から主力のハイテク株が買われた。日欧米の中央銀行による金融緩和を追い風に、主力株で構成するダウ工業株30種平均、幅広い銘柄を含むS&P500種株価指数に続いてナスダック指数も未踏の領域に入った。
23日のナスダック指数は前日比20.892ポイント(0.4%)高い5056.063で取引を終え、00年3月の高値(5048.62)を上回った。取引終了後に決算発表を控えていたグーグルやマイクロソフトが業績拡大期待で買われた。バイオ関連銘柄も上昇し、ナスダック指数を押し上げた。一方、ダウ平均は20ドル42セント(0.1%)高の1万8058ドル69セントで終えた。
ナスダック指数は00年に最高値を付けた後、ITバブルの崩壊を受けて02年には高値から78%低い1114台まで下落した。ダウ平均とS&P指数はITバブル期の高値を程なく更新したが、ナスダック指数はバブル崩壊の打撃が大きく、高値を更新できずにいた。
00年当時はIT分野の将来性が投資家に過度に評価され、十分な利益が出ていなくても時価総額が膨らむ傾向にあった。四半期決算で赤字となるケースが珍しくなかった米ヤフーの00年の時価総額は900億ドル(約10兆円)を上回っていた。
現在の主役は「スマートフォン(スマホ)」や「SNS」だ。iPhone(アイフォーン)で稼ぐアップルの時価総額は約7550億ドル(約90兆円)と米企業で最大。ITバブル期には上場していなかったSNSのフェイスブックも時価総額の上位にある。
アップルは昨年10~12月期の純利益が2兆円に達し、時価総額の拡大には業績面の裏付けがある。モルガン・スタンレーのストラテジスト、アダム・パーカー氏は「(ITバブル)当時の時価総額の大きな企業は『買われすぎ』だったが、今の評価は適正だ」と語る。
欧州中央銀行(ECB)が量的金融緩和に踏み切り、中国人民銀行もここにきて金融緩和に動いた。主力企業と比べ財務が脆弱なITやバイオの新興企業にとって、低金利の長期化は支援材料で、ナスダック指数の上昇につながっている。ただ、年内には米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切る見通しで、波乱の展開となる可能性もある。