日銀の中曽宏副総裁は24日、都内で講演し「日本経済が長年続いたデフレから脱却し、再び経済の活力を取り戻すことは、アジアの持続的な成長にも貢献する」との考えを示した。日銀は「2%の物価安定の目標の実現を目指して量的・質的金融緩和を推進している」とし、アジア経済の持続的成長への貢献に前向きな姿勢を示した。
「アジア経済の過去・現在・未来」と題した講演で、中曽副総裁は「アジアは『世界の工場』としてだけでなく、世界の一大『消費地』としても有力な地位を占めるに至った」と指摘。持続的な成長に必要な条件の1つとして「生産性の持続的な向上」を挙げた。
中曽副総裁は、今年が「中国の対外直接投資が対内直接投資を上回る画期的な年になることが確実視されている」として、グローバルに競争環境が変化しているとの見方を示した。その上で「研究開発投資などに投資資金を振り向けて、戦略的に産業構造の転換・高度化を進める」ことが変化を乗り切ることにつながると指摘した。
アジアが国際金融資本市場に組み込まれることによって、「グローバルなショックに対する頑健性を一段と高めていく」必要があるとも指摘。「先進国の異例の緩和政策の下で調達コストが低下し、外貨建て債務の比率が幾分上昇している」ため、米国の金融政策が正常化に向かった場合「アジア企業の債務返済能力の及ぼす影響などに注意していく必要がある」との認識を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕