【ニューヨーク=共同】米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議で1日(日本時間2日)、広島市の松井一実市長と長崎市の田上富久市長が演説し「核兵器廃絶に向けて前進を」と各国政府に訴えた。
演説の場は、非政府組織(NGO)会合。5年に1度で、原爆投下70年の節目となる今回は、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の田中熙巳事務局長(83)と、カナダ在住のサーロー節子さん(83)ら被爆者3人も、核兵器禁止条約の交渉開始を強く求めた。
松井市長は核兵器を「非人道兵器の極みで絶対悪」と非難し「核のない世界の実現には核禁止条約が必要だ。まさに交渉を始める時が来ている」と述べた。非人道性についての認識が広がっていることを指摘し「今こそ世界の指導者は果断なリーダーシップを発揮し、廃絶とそのための国際環境づくりに取り組む時ではないか」と会議での意義ある前進を求めた。
田上市長は、ウクライナをめぐる国際情勢などを挙げ、NPT体制の形骸化の懸念を表明。被爆者が生きているうちに廃絶への道筋を示す責任があるとし「核兵器の価値を否定する新たな世界への転換点にしよう」と呼び掛けた。